
地震や台風、豪雨など、いつ起こるかわからない災害。
これまでは「3日分の備蓄を」と言われてきましたが、
近年は 1週間〜10日ほど自宅で避難生活を送る可能性 も指摘されています。
そのときに重要になるのが、
「在宅で10日間、なんとか暮らせる住環境」を整えておくことです。
水や食料を買い置きするだけでなく、
ご自宅そのものを「暮らせる場所」として準備しておく視点が大切です。
最初の一歩は、やはり備蓄です。
■ 水
目安:1人1日3リットル × 人数 × 10日分
飲料に加えて、簡単な調理や歯みがきにも使う量を想定します。
■ 食料
レトルト食品、缶詰、常温保存できるパンやごはんなど火や水が少なくても食べられるものを中心に選びます。
非常食だけでなく、ふだんから食べ慣れているものも交えておくと安心です。
■ トイレ
断水時に最も早く困るのがトイレです。
凝固剤付きの非常用トイレを、1人1日5回 × 10日分を目安に準備します。
■ 明かり・情報
・乾電池式・充電式ランタン(部屋全体を照らせるもの)
・手回し/乾電池式ラジオ
・スマホ充電用のモバイルバッテリー
ここまでが「モノ」でできる基本の備えです。
しかし、在宅で10日間過ごすことを考えると、モノだけでは補いきれない“住まい側の課題” が見えてきます。
10日間、自宅で避難生活を送る場面を想像してみると、次のような不安が出てきます。
・家具が倒れて通路や出入口がふさがれてしまうかもしれない
・停電した夜、真っ暗な家の中を移動するのが危険ではないか
・真夏や真冬、エアコンが使えないと体調が心配
・高齢者や障がいのある方が、安全にトイレや寝室を行き来できるか
・在宅酸素や医療機器など、電源が必要な機器をどう確保するか
こうした部分は、「備蓄品を増やす」だけでは解決しきれません。
ここから先は、住環境整備や工事の視点が重要になります。
在宅で10日間過ごせる家に近づけるために、工事でできることは意外とたくさんあります。
ここでは、代表的な内容を4つの視点に分けてご紹介します。
◆耐震補強工事
基礎や壁を補強し、建物自体の倒壊リスクを下げます。
「この家で暮らし続ける」前提で、長期的な安心を得たい場合に検討されます。
◆家具固定のための下地補強・金物取り付け
タンス・食器棚・本棚などを壁に固定するため、
壁の中に下地を入れたり、L字金物・耐震金具でしっかり固定します。
◆ガラスの飛散防止フィルム・雨戸・シャッター
割れたガラスによるケガを防ぐほか、台風時の飛来物対策にもなります。
→ 大きな揺れや強風のあとでも、「安全に動ける屋内環境」を守りやすくなります。
◆非常用コンセント・専用回路の設置
蓄電池やポータブル電源・EVなど非常用電源をつなげば、
停電時でも一部の照明や機器を動かせるようにする工事です。
◆太陽光発電+蓄電池の導入
条件が合えば、昼間の発電と蓄電池を組み合わせ、
冷蔵庫・照明・通信機器など“優先度の高い機器”の稼働が期待できます。
◆情報機器まわりのコンセント計画見直し
ルーターや充電機器周辺を整理し、「非常時にどこへつなぐか」を明確にしておくことも、
立派な“工事に近い整備”と言えます。
→ 「真っ暗・連絡が取れない」状態を少しでも避ける備えです。
■④ 動線をシンプルにし"疲れにくい部屋"にする
家具の配置を少し変えるだけで、安心感・動きやすさは大きく変わります。
特に
ベッド → トイレ
ベッド → 玄関
この2つのルートがスムーズだと、
「動ける日に無理なく動ける生活」 を後押しします。
◆段差解消(スロープ化・敷居の撤去など)
玄関・廊下・脱衣室などの段差をなくし、転倒リスクを軽減します。
◆手すりの設置
階段・トイレ・浴室・玄関などに手すりをつけることで、
高齢者や体力の落ちた方でも安全に移動しやすくなります。
◆通路幅の確保・扉の引き戸化
将来の車いす利用や介助を想定して、
廊下や出入口の幅を広げたり、開き戸を引き戸に変更する工事です。
→ 災害時だけでなく、ふだんの暮らしの安全性や介助のしやすさも大きく向上します。
◆パントリーや床下収納の増設
水や食料、非常用トイレなどを“しまいっぱなしにせず管理できる収納”をつくります。
◆屋外物置・雨水タンクなどの設置
スペースに余裕があれば、屋外の簡易倉庫や雨水タンクを活用し、
在宅避難時の“生活資源”を増やすことも可能です。
→ 「置き場所がないから備蓄できない」という悩みを解消するための住環境整備です。
災害時に10日間在宅で過ごせる住環境整備は、
◆モノを備える(備蓄)
◆日頃の暮らし方を整える(動線・片づけ・安全な通路)
◆必要に応じて、工事で家の弱点を補う
この3つを組み合わせることで、現実味を帯びてきます。
工事は、ご本人・ご家族にとって 大きなメリットがある一方で、費用や工事中の不便さなどデメリットが生じる場合もあります。
だからこそ、
◆どの災害を想定するか
◆誰がこの家で10日間過ごすのか
◆今の家のどこが一番不安か
を整理しながら、「どこから手をつけるか」を検討していくことが大切です。
いきなり大がかりな工事を決める必要はありません。
・現在のお住まいの間取りや設備
・ご家族の年齢・健康状態・介護の有無
・地域特有の災害リスク
こうした点を一緒に確認しながら、
・備蓄で対応できる部分
・暮らし方の工夫で変えられる部分
・工事をすると効果が大きい部分
を整理していくことが、在宅避難に強い家づくりの第一歩になります。
—住環境整備のご相談はお気軽に—
「うちの場合、どこから備えたら良いか知りたい」という段階から、
専門スタッフが丁寧にサポートいたします。
